排尿・畜尿に関する諸症状
(排尿困難・頻尿・排尿時痛・血尿等)に関して

排尿困難、頻尿、排尿時痛、血尿 等

排尿困難

泌尿器科イメージ

排尿困難の原因としては、前立腺肥大症や神経因性膀胱などがあります。このうち前立腺肥大症は、尿道を取り囲むように存在する男性特有の臓器が肥大化する病気です。加齢に伴って罹患率が上昇していき、80歳以上の男性では8割以上の方に前立腺肥大症がみられると言われています。前立腺が肥大化すると、尿道が圧迫を受けるようになり、排尿が困難になります。さらに進行すると、尿閉に至ります。

神経因性膀胱は、排尿のコントロールに関与する脳神経などがうまく機能しなくなり、排尿困難が起こります。糖尿病などが原因のこともありますが、なかには脳血管障害や脳腫瘍に伴う症状のこともあるので、排尿困難が続いているときは、精密検査を受けるようにしましょう。

頻尿

頻尿の原因は様々ですが、過活動膀胱や尿路感染症が考えられます。このうち過活動膀胱は、神経の異常などによって膀胱が過度の刺激を受けてしまう病気です。膀胱に尿が十分溜まっていない段階でも排尿したくなるので、日常生活にも影響が出ます。過活動膀胱を引き起こす原因は多岐にわたります。中枢神経や末梢神経に何らかの病気が潜んでいるケースもあれば、骨盤底筋群の脆弱化、更年期後の女性ホルモン不足、前立腺肥大症などが原因のこともあります。

患者さまを問診し、過活動膀胱が疑われるときは、いくつかの検査を追加します。具体的には、尿路の状態を調べるための腹部エコー検査、排尿後にどれだけ膀胱内に尿が溜まっているかを確認する残尿測定等があります。なお、尿路感染症については、こちらをご覧ください。(「泌尿器科 各種感染症」のページにリンク)

排尿時痛

排尿時に痛みが生じているときは、尿路に炎症が起こっている可能性があります。男性の場合は前立腺炎や尿道炎が多く、女性の場合は膀胱炎がよく見られます。このうち前立腺炎は、細菌などが原因となって炎症が強まります。発熱や倦怠感などの症状が見られることもあります。尿道炎は、細菌感染や尿道の粘膜が損傷を受けることで起こります。尿が出る瞬間に痛みがあるときは、クラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎の可能性もあります。

膀胱炎は、外陰部などから細菌が侵入して増殖し、膀胱に炎症が起こる病気です。この場合、急性と慢性がありますが、とくに多いのが急性膀胱炎です。疲労やストレスによって免疫力が低下しているときに起こりやすく、不衛生な状態での性行為によるケースも目立っています。なお、膀胱炎の段階では発熱を伴わないことが多いのですが、細菌などが尿管を伝って侵入してしまうと、腎盂腎炎に至るケースもあります。排尿時の強い痛み、高熱などの症状があるときは、お早めに当クリニックをご受診ください。

血尿

血尿は、文字通り尿中に血液が混じっている状態ですが、必ずしも目で見て確認できるとは限りません。尿の見た目からは異常は感じないものの、実際には血液の成分が混じっているケースがよくあるのです。これを「顕微鏡的血尿」と呼んでいます。患者さま自身では確認できませんが、腎臓や膀胱に何らかの病気が潜んでいることがあるので、自覚症状がなくとも速やかに原因を調べる必要があります。具体的には、尿定性検査や尿沈渣検査などを行います。

なお、患者さま自身で尿中の血液を確認できることもあります。これは「肉眼的血尿」と呼ばれており、腎がんや膀胱がんなどの重大な病気が潜んでいる可能性があります。そのようなときは、尿定性検査や尿沈渣検査だけでなく、腹部超音波検査や尿細胞診なども行います。検査の結果、お薬による治療で対応できることもありますが、尿道から内視鏡を挿入して治療することもあります。膀胱がんなどの手術が必要なときは、専門の病院をご紹介いたします。

男性更年期症候群

更年期というと、女性にのみ起こると誤解されている方も少なくないようですが、実際には男性にも更年期に伴う症状が起こります。ただし、起こりやすい年代が若干異なっています。女性の場合は、閉経を迎える50歳前後の更年期に起こりやすいのですが、男性の場合は30代後半で起こることもよくあります。その後、40~50歳代で症状が強まる傾向があります。代表的な症状は、すぐに疲れてしまう、何事もやる気がしない、イライラする、眠れない、性欲減退などです。原因に関していうと、加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の減少が影響しており、さらにストレスが溜まっていくにつれて発症リスクが高まります。そのようなときは、更年期障害をチェックするための質問票(AMS)にご回答いただき、血液検査や尿検査の結果も踏まえて診断いたします。

尿路結石

結石は様々な臓器にできますが、その中でもとくに多いのが尿路結石です。具体的には、腎結石や尿管結石などがあります。このうち腎結石は、腎臓内に結石が生じている状態です。結石が小さいときは尿と一緒に自然排出されますが、結晶化したものが集まる、あるいは増大などすると排出されにくくなります。結石が腎臓内にある段階では、ほとんど痛みがありません。しかし、患者さまによっては比較的に早い段階から鈍痛や血尿などが現れることもあります。結石の種類にもよりますが、画像検査(腹部CT検査、腹部超音波検査)で確認できることが多いので、定期的に泌尿器科で検査を受けると良いでしょう。

尿管結石は、尿管内に結石が生じている状態です。腎臓で作られた結石が移動して尿管を刺激します。このような状態になると、尿の圧力が増していき、激しい痛みに襲われます。この激痛は、腰や背中から側腹部にかけて疝痛発作として現れます。このほかにも血尿や吐き気といった症状も見られます。主な原因としては、内分泌・代謝異常(副甲状腺機能亢進症、痛風など)、高たんぱく食などの食生活、薬剤(ステロイド、尿酸排出促進薬など)の影響、飲水不足、長期臥床などがあります。